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パクチーとコリアンダーの違いとは?お互いに代用できる?

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パクチーとコリアンダーの違いとは?お互いに代用できる?

パクチーとコリアンダーの違いをご存知でしょうか。本記事ではパクチーとコリアンダーの違いをそれぞれの特徴や使い方などもあわせて紹介いたします。

パクチーとコリアンダーは同じ植物

パクチーとコリアンダーは、どちらもセリ科コエンドロ属の同じ植物を指します。

この植物は、葉をはじめ根や茎、種子まで食用になります。タイやベトナム、中東、メキシコを中心に使われており、エスニック料理に使うイメージが強いですが、実は古代ギリシャやローマ時代から使われていた古いハーブであり、日本にも10世紀頃にはすでに伝わっていたといわれています。

パクチーはタイ語であり、正式名称を「コリアンダー」といいます。英語では正式名称のコリアンダーとよばれ、各国でそれぞれ呼び方が異なります。

パクチーとは

日本でパクチーといえば、生の状態の葉や茎を指すことが多いです。

上述したようにパクチーはタイ語であり、タイ以外の国では「パクチー」といっても通じないので注意しましょう。

本場タイのパクチーには「パクチータイ」「パクチーファラン」「パクチーラオ」などの様々な種類があり、日本でパクチーと呼んでいるのは、パクチータイという種類です。

日本ではエスニック料理を食べる機会が増えたことからパクチニスト(パクチーファン)が増えており、近年ではパクチーを堪能できるレストランも多く、スーパーでも野菜として販売されるようになりました。さらに日本でも栽培しやすい植物であるため、家庭で栽培しているという方も多くいます。

パクチーの香り

パクチーといえば、やはり独特のクセのある香りと風味です。パクチーの香りはカメムシやワキガ、排水溝などに例えられることが多いです。

これはパクチーが持つ香り成分とカメムシが放つ香り成分に共通する成分があるためであるということがわかっています。特に生の状態のパクチーはこの独特の香りが強いため好き嫌いがはっきりとわかれますが、タイ料理やエスニック料理には欠かせない食材の一つである他、中華料理に使われることもあります。

パクチーの使い方

パクチーは生のまま食べたり、炒めものにするなど加熱調理をして食べることが多いです。

サラダ

本場タイでは、生のままサラダにして食べることが多いです。生のままサラダに入れることでパクチーの香りと風味をダイレクトに感じることができます。

パクチーの香りや風味を楽しみたいという方は、細かく刻むことで香りが強くなるので細かく刻んでいれるのがおすすめです。

反対に苦手な方は、形が残るようにちぎり酸味の強いポン酢や香ばしい風味の強いごま油を使ったドレッシングや、ごまドレッシングなどの濃い味のドレッシングを使うと食べやすくなります。

トッピング

タイ料理で有名なトムヤムクンやフォーなどのトッピングにパクチーを乗せることも多いです。パクチーをトッピングすることで独特の香りや風味がアクセントになり、タイ料理をより本格的に楽しむことができます。

トッピングに使う場合も香りが苦手な方は大きめにちぎってトッピングすると良いです。また、パクチーの匂い成分は熱に弱いため、トムヤムクンなどスープにする場合は一緒に煮込むとより食べやすくなります。

炒めもの

パクチーは肉や野菜と一緒に炒めたり、ご飯と炒めてチャーハンにすることもできます。醤油やナンプラーで味付けをすると簡単にエスニック風になります。

上述したようにパクチーの匂い成分は加熱に弱いですので、パクチーが苦手な方でも生で食べるより食べやすいと感じる人が多いです。

生春巻き・餃子

パクチーは生春巻きや餃子の具にもなります。

生春巻きにする場合は、ライスペーパーにパクチーやえびなどのお好みの具材を巻くと見た目もおしゃれなエスニック料理になります。チリソースをつけて食べるのがおすすめです。

餃子のタネに刻んで入れることもできます。刻むと香りが強くなりますが、肉など他の食材でパクチーの香りや風味が軽減されますし、加熱をするのでパクチーが苦手な方でも食べやすい変わり種として人気があります。

ソース

パクチーとニンニク、炒ったカシューナッツ、オリーブ油、ナンプラー、粉チーズなどをフードプロセッサーにかけてペースト状にしてジュノベーゼソースのようにして使うこともできます。

ジュノベーゼソースと同じで、パスタと合えて食べたり、グリルで焼いたじゃがいもに乗せて食べたりなど用途も広がります。

強い香りのあるニンニクでパクチーの匂いが抑えられ、さらにオリーブ油やナンプラーなどのオイルでコーティングするのも匂いの軽減に繋がるためパクチーが苦手な方にもおすすめです。

コリアンダーとは

日本でいうコリアンダーは、種子を乾燥させたものを指します。

コリアンダーは古くからスパイスとして使われていた他、薬としても使われていました。胃腸の不調に働きかける作用があるとされています。

コリアンダーは、よく熟し茶色くなった種子を摘みとって乾燥させて作ります。種子の形をそのまま残したものを「コリアンダーシード」、パウダー状にしたものを「コリアンダーパウダー」といいます。

英語圏から入ってきた料理に、「コリアンダー」という名前で乾燥した種子や葉を香辛料として使っていたことから、日本人は種子を乾燥させたものを「コリアンダー」と呼ぶようになったと考えられています。

コリアンダーの香り

コリアンダーは、柑橘系のようなフルーティーな甘さを含んだスパイシーな香りです。

生の葉や茎のように独特な香りしません。同じ植物であるのに香りが違うのは、葉や茎に含まれている香り成分と種子に含まれている香り成分が異なるためです。ただし、未熟な種子には葉や茎と同じ成分が含まれます。そのため、コリアンダーを作る際は熟した種子を使います。

コリアンダーの使い方

コリアンダシードはスパイスとして料理の味付けに使われます。

カレー

コリアンダーはカレーを作るときにスパイスとして使われることが多いです。自宅でもルウを使わずにクミンなどの定番のスパイスと合わせて使うことで、本格的なカレーを作ることが可能です。

じゃがいもと鶏肉をホロホロに煮込んだタイのカレー「マッサンカレー」や、ひき肉を用いて作るインドのカレー「キーマーカレー」などありとあらゆるカレーに使うことができます。

炒めもの

コリアンダーシードは炒めものをする際に、具材と一緒に炒めることも多いです。コリアンダーシードは粒状になっていますが、食材から出る水分や油分を吸って柔らかくなります。食材と一緒に口に入れて噛めば爽やかなスパイスが口の中に広がります。

ハンバーグ・肉団子

コリアンダーパウダーは、ハンバーグのタネや肉団子のタネなどに混ぜ込んで焼くなどの肉料理に使われることも多いです。

コリアンダーパウダーで入れることにより、いつものハンバーグや肉団子をエスニックの風味にすることができます。トマトソースとも相性が良いので、トマトソースと一緒に煮込むのもおすすめです。

焼き菓子

コリアンダーパウダーは、クッキーやケーキなどを作るときに使うこともできます。コリアンダーパウダーを生地に入れて焼くことで甘くスパイシーな風味が良いアクセントになります。

また、シナモンと同じように桃や洋梨、焼きりんごなどにかけてもよく合います。コリアンダーパウダーをかけることで果物の甘さがより引き立つのでおすすめです。

その他のパクチーの呼び方

コエンロド

「コエンロド」は、パクチーの和名です。

パクチーの正式名称である「コリアンダー」に由来しているものです。

「コリアンダー」は、古代ギリシャ語の「コリアン(koríannon)」に由来するといわれており、「コリアン」はカメムシを意味する「koris」、同じくセリ科の植物でスパイスとして使われるアニスの実を意味する「annon」を組合わせた言葉だと考えられています。

日本ではパクチーをコエンロドと呼ぶことはあまりなく、古くは「カメムシ草」という別名で呼ばれることも多かったようです。

香菜(シャンツァイ)

中国では「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれます。

香りが強いため「香菜」と呼ばれるようになったのではないかといわれています。

中国では、麵や料理のトッピングや薬膳料理などに使われることが多いです。日本でも中華料理でパクチーを食べる際は「香菜」と呼ぶことがあります。パクチーとは異なる呼び方であるため、同じものだと気がつかない方も多いですが、実は同じものなので覚えておくと良いでしょう。

パクチーとコリアンダーはお互いに代用できる?

上述したように日本でいうパクチーは生の状態を指し、コリアンダーは種子を乾燥させたものを指します。同じ植物ではありますが、形状や風味が異なるため代用するのは難しいです。

例えばパクチーの代用品としてコリアンダーシードを使って炒めものをすると、甘くスパイシーな風味になります。反対にコリアンダーの代用品としてパクチーを使うと、独特の香りや風味が強くなってしまうので別物の料理になってしまいます。